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毎日の運動量は?【皮膚トラブルでも結石症でも運動量を聞く理由】

走る犬

目次

運動習慣と運動量を聞く理由

走る犬

皮膚炎でも結石症でも、まず最初に運動習慣や運動量をお聞きします。
他のお悩みでも、運動に関する質問は結構細かくお伺いします。

するとなかには
「うちの子は太っていません!(怒)」
という方もいらっしゃるのですが、お悩みの種類に関わらず”運動”と”食餌”はセットです。



「◯〇を食べるといい」
的なことをご期待されているのかもしれませんが、残念ながら食材だけで解決することはまずありません。

また運動量をお聞きしても、カロリー計算するわけでもありません。

カロリー計算は、多少目安になることもありますが、あまり効果がありません。


同じカロリー量でも、市販のドライフードと手作り食では、1か月後の体が全く違います。

例えば一日のカロリーを菓子パン中心で摂るか、バランスの取れた和定食で摂るかでは、全く違うのと同じです。


同時に、運動習慣の有無やその量によって、安静時の代謝量が変わるだけでなく、東洋医学的にも全身状態を知る上で重要な情報なのです。


運動習慣は体重管理ためだけのものではない

コック服を着た太った犬

運動=体重管理
というイメージが強いですが、実は心身の両方の健康を維持する役目の方が大きいと考えてます。


TVでよく見る大食いタレントさんほどではなくても、食べた量と体重はかなり個体差があると感じています。
犬種によっても、太りやすいタイプや筋肉が付きやすいタイプがありますが、同じ犬種でもやっぱりかなりの個体差があります。


そのためあまり”体重”という数字にこだわりすぎてしまうと、体本来の声を聞き逃してしまいます。

よく犬種図鑑に書いてある、犬種ごとの体高や体重が適正体重だと思っている方がいらっしゃいますが、あれはあくまでも目安です。


きちんとしたブリーダーから迎えた犬ならともかく、最近は犬種本来の骨格や健康を考慮せず
「人気色だから」
とか
「小さい方がかわいい」
というような理由でブリーディングしているケースも見受けられます。


適正体重かどうかは、体重の数字より、肋骨の触り具合の方が正しく判別できます。

救急医療が得意な西洋医学と全身状態を総合的に診る東洋医学の違い

漢方薬を調合する人

急性の症状やケガの応急処置は断然西洋医学的なアプローチの方が得意です。
外科的な処置や感染症、強い痛みやかゆみなどに対応する薬は豊富です。

もちろん漢方薬にも感染症や急性症状に有効な薬がいくつもあるのですが、どこの病院でも処方してもらえるわけではありません。


ただ皮膚病にしても、例えば何か刺激性のある物質(薬品)に触れて、引き起こされるものについては、西洋医学的なアプローチで対処する方が良いでしょう。


しかし
・ある日プツプツが出た
とか
・耳がただれやすい
・ノミ・ダニに刺されたわけでもないのにかゆがる
などという場合は、皮膚だけに焦点を当てて見ているだけだと、何度も繰り返す傾向にあります。

・一時的にかゆみを止める
・炎症を抑える
というのは対処療法で、根本的な解決ではありません。


そんな時は全身状態を俯瞰して診る東洋医学的アプローチの方が良い結果につながりやすいです。

結石でも総体的に考えることが大切

腎臓の断面イラスト

小型犬に多いお悩みに『繰り返す結石症』がありますが、これも食餌によるミネラル管理だけでは、上手くいかないことが多いです。

これも尿の酸とアルカリバランスや、フードのミネラル量ばかりに気を取られてすぎると、事の本質を見失ってしまいます。


腎臓の本来の仕事、または尿が作られる理由を忘れて対処しようとするのは本末転倒です。


腎臓は体の一部であり、
①腎臓そのものにエラーが起きている場合
②それ以外でエラーが起きて、結果的に腎臓に負担がかかっている場合
では対処方法が全く変わります。


あくまでも私の経験の範囲では、多くの結石症は②のケースがほとんどで、ちょっとした食餌のアドバイスと運動習慣で繰り返さなくなります。

ある時、何年もぶり返していたワンちゃんの飼い主さんが
「この数年の戦いは、なんだったんでしょう?」
とぼやいていたことが忘れられません。


もちろん個体ごとに原因も体質も違いますので、あっけなく解決してしまうケースと悪くなった時間と同じくらい解決まで時間がかかるケースもありますが、
「体質だからしょうがない」
とあきらめてしまうのはもったいないと考えます。

「日本の犬はなぜそんなに結石が多いの?」

獣医が抱く白い犬

以前、ヨーロッパ出身の獣医師にそう聞かれたことがあります。

一般にヨーロッパの水はミネラル量が多いです。

冒頭の質問を投げかけた獣医師は、
「ミネラルの少ない軟水がほとんどの日本で、なぜそんなに摂取ミネラル量を管理しているのだ?」
と。


まだ駆け出しの頃の話なので、この質問に思わずうなってしまいました。


・単純に症例が多いというより、診断される症例が多いのか?
(動物病院が多く、検査機器も充実しているから)
・軟水であることが関係しているのか?
・運動習慣や飼育環境の差が関係しているのか?
・そのほかの要因?

まとめ

犬と猫の仲良しイラスト

様々な仮説がありますが、決定的な結論に達していないのが現状です。


「これは?!」
と思った論文を見つけても、中身を読んだら、調査した犬が数頭~10頭前後で、有意な傾向すら見いだせていない(と思う)ものが多く、かえって謎が深まるばかり。


つまり絶対的な原因を特定するのは難しくても、全身の状態が整ってぶり返さなくなれば、動物も飼い主さんも楽に過ごせるわけで、そこに到達できるようお手伝いできればと思っています。

そのためにも運動量や運動習慣の情報は、とても大切なのです。

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