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ペットの健康管理にも微生物の力を侮るなかれ【目に見えない世界の可能性】

鶏、猫、犬、ロバ

目次

ヒトの遺伝子数は生物界最強なのか?

鶏、猫、犬、ロバ

遺伝子が動物としての”種”とか、体質などを決めているのは確かです。


しかし自分の遺伝子だけでできることは限られていて、全身に住む多くの微生物の力なくして生きていけないことはあまり認知されていません。
これは人間に限らず、犬も猫も同じ。
あらゆる動植物がそうなのです。


ちなみに私たちの遺伝子数はどのくらいだと思いますか?


原始的な生物の代表である線虫は20,500個。
哺乳類の代表として様々な研究モデルとして使われるマウスは23,000個です。
植物はゲノムサイズが動物とは違いますが、小麦だと26,000個。

さてヒトはいくつでしょう?

自分の遺伝子だけでは生きてはいけない私たち

遺伝子

答えは21,000個!

線虫とほとんど変わらないのです。
さらにショックな情報をお伝えすると、多細胞生物のモデルともいえるミジンコは31,000個です。


つまり私たちは線虫よりはちょっと多いが、ミジンコ以下の遺伝子数で形成されています。

ショックの上乗せをすると、ゲノムサイズは米の半分以下です。


いかがでしょう?
地球を我が物顔で闊歩している人間も、遺伝子で見るとたいしたことないのです。


ただ哺乳類がここまで地球で幅を利かせているのは、共生している微生物のお陰です。



ヒトは自分の遺伝子21,000個に対して、微生物の遺伝子440万個によって支えられています。


もはや『ヒト』というのは『微生物の集合体』ともいえるのがご理解頂けると思います。


この状況は人間だけでなく、犬猫もほぼ同じであり、微生物を知ることは健康管理の上で不可欠だと考えています。
(だから弊社のペットフードブランドのブログはやたらと微生物の話が多いのです。決して筆者が微生物マニアであることと関係ありま・・す。ハイ)



例えば腸内細菌の力については、乳酸菌飲料などのメーカーさんの力もあって、多くの方がご存じでしょう。

しかし肌や粘膜などで、微生物が作り出す物質によって、防御機能を高めていることは今一つ広まっていないように思います。


『菌』というととかく敬遠されがちですが、『無菌』であることの方が生物としては不自然で、極めて弱い存在になります。

そもそも細菌・真菌などは、植物に比べてもかなり古く、地球上の生物の成り立ちを考える上で、大変重要です。

壮大な宇宙の成り立ちやきらめく星にロマンを感じても、土壌微生物の世界は?

星空

微生物と一言で言っても、細菌・真菌・ウィルスなど様々です。

ちなみに進化の過程から、人間など哺乳類を含めた動物に近いのは、”真菌”です。
真菌とは、きのこ・カビ・酵母のことです。

乳酸菌とか納豆菌という○○菌と付くのは、細菌と呼ばれるグループで、これは動物の登場と進化に寄与してきたのは間違いありませんが、生物としての系統が違います。

真菌が同じ”地球人”だとすると、細菌は火星人みたいなもの。
(ま、火星人がいるかどうかは別として(;´∀`))
そこからすると、ウィルスなんかは、太陽系外から来た感じです。



先ごろはやぶさ2が、遠い星リュウグウから土壌を持ち帰ったことが話題になりましたが、土壌というのはその星の成り立ちを知る上で非常に多くの情報を含んでいます。
そしてそこに住む微生物たちの存在によって、土壌の質、そして地上の環境さえ変わるのです。


夜空に煌めく星の存在と謎に、胸をときめかせるファンは多いですが、我々が住む星・地球の土に壮大なロマンを感じるのは、残念ながらごく一部のマニアだけなのが現状です。
(随時”友の会会員”を募集中です)

微生物感染によって機能する細胞もある

電子顕微鏡

細菌にしろ、ウィルスにしろ『感染』することは、病気になるイメージで怖いと感じる人がほとんどでしょう。


確かに何らかの症状が出ることが多いですが、新型コロナウィルスでも言われているように、無症状のままキャリアになることは他の感染症でも見られます。


これには様々な意味がありますが、その一つとして、感染した生物の機能に何らかの影響を与え、細胞のバージョンアップを図っている可能性があります。



今でこそ蛍光顕微鏡があり、PCR検査があり、目視できるものも遺伝子上のものも格段に増えています。


その結果1990年代より目視できる微生物は100倍に増えました。


そもそも土壌微生物の教科書が出来て、まだ100年ほど。

この間、顕微鏡も進化し続けてきましたが、30年前まで
『存在している気配はあっても、正体が見えない』
座敷わらしのような細菌・ウィルスはかなり多かったのです。
(※座敷わらしの出る宿に泊まった友人は、「絶対いる!足音がして、風がふ~ってきた!」と言っておりました。もちろん私自身は気配も含めて見たことがありません)


しかし顕微鏡や検査方法の進化で、
『ウィルス感染した細菌が、動物の細胞に感染することによって新たな機能を得る』
といったことも分かるようになってきました。


ただその細菌がダイレクトに感染してもダメで、ある種のウィルスに感染した細菌が動物の細胞に入ることによって始めて成立する不思議。


微生物を知ることは、生物を知ることにつながります。
そして生物の歴史は感染症の歴史でもあり、正しく知ることは今後の健康管理に不可欠です。

新型コロナウィルスだけじゃない

海上を飛ぶ鳥

新型コロナウィルスの話題一辺倒ですが、欧米ではここ数年、各種耐性菌による感染症で多くの方が亡くなっています。薬剤耐性菌だけでも、全世界で70万人もの人が亡くなっていますが、カンジタ菌など本来常在菌として共生しているはずの耐性菌での死者も増えています。


そして鳥インフルエンザの大流行。


千葉県の鶏卵は、全国第二位の産出額(参照:平成30年度農業産出額)を誇っていますが、今回の鳥インフルエンザでその3割を殺処分するような大流行になっているのが非常に気になっています。

精密な顕微鏡で小さなことを突き詰めていくのも大切ですが、鳥のように大きく俯瞰する目も持ちたいと考え、日々勉強しています。

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