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米は犬猫に不必要なのか?【誤解が多い米のパワー】

お茶碗に盛った白米

目次

犬猫は米を食べていいの?

グレインフリー(穀物不使用)というフードが増えた今、米を使用したフードは嫌煙される傾向にあります。
人間社会でも『ローカーボ食』や『炭水化物ダイエット』などが話題になり、米を食べるのが”悪”とさえ言われる風潮があります。

糖尿病の原因として”米”はしばしば悪者にされますが、糖尿病の増加と反比例するように、米の消費量は減少傾向にあり、それは現在も続いています。明らかに原因は他の食材や生活の変化にあるのに、未だに汚名を背負っているのは気の毒でさえあります。


カウンセリングをする中で、
「ご飯を食べさせるとガンになる」
「結石の原因はご飯を食べさせたからだと言われた」
という話を伺い、仰天したことがあります。

また最近の傾向としては
「野生時代、犬も猫も米なんか食べていなかったから、食餌として不自然」
という主張です。


このように犬猫の世界でも”米”の風当たりはかなり厳しいのですが、どれも
・根拠不明の都市伝説
・科学的根拠が薄い
ばかりです。

ご飯でガンになる? 結石の原因になる?

お腹が痛い

これらの根拠を知りたいです(苦笑)

この話をしてくれた方によると
「特に玄米は農薬ごと食べる上、消化がすごく悪いので食べるほど病気になる」
とお医者さんに言われたそうです。
「昔の人が短命で、戦後胃がんが多かったのも米が原因」
だと。


う~ん。。。。
”短命”というのは時代ごとの推定平均寿命を言っているのでしょうけど、救急医療や感染症対策がなかったこと、そして乳幼児の死亡率が高かったことが平均を押し下げた結果だと思います。

また胃ガンの原因も、玄米だけならずコーヒーや塩鮭など、数々の食品が挙がりましたが、今やピロリ菌の感染が大きな原因として特定されています。


また結石の原因になるという根拠は、まるで思いつきません。
ご相談者は体重7キロの犬に週数回、お仏壇にあげたご飯(10g程度)をおやつ代わりにあげていたそうですが、それが結石の原因と診断されたというのです。


食餌内容だけでなく、おやつ、運動量、持病、生活全般について色々お聞きしたのですが、特に大きな問題が出てきません。
おそらく病院でも同じ説明をし、唯一”ご飯”がやり玉に当たったのだと思うのですが、結石を繰り返す場合、ドライフードよりご飯を中心にした手作り食の方が、明らかに改善するケースが多く、
『改善の原因』にはなっても、『結石の原因』になったことは一度もみたことがありません。

米は犬猫にとって不自然な食餌? ~グレインフリーフードの真実

ドライフード

これも最近、よく見聞きします。
そもそもグレインフリー(穀物不使用)というのは、小麦やトウモロコシにアレルギーを持つペットが増えたことで話題になりました。

ただこの裏側には、バイオエタノールの需要増加で、トウモロコシ相場が上昇したことや、小麦の場合は不作でやはり価格が上がったことも無関係ではないと考えます。
つまりこれまでの価格で、ドッグフード・キャットフードが作れなくなったのです。

家畜の餌にもトウモロコシや麦類は不可欠なので、穀物相場の上昇は肉類の価格上昇にも関係します。


グレインフリーフードは、そんな時に登場したのです。


ただ犬猫でも炭水化物源は必要なので、そういったフードには必ずジャガイモや豆類を使っています。
この時点で「グレインフリーフードは野生時代の食餌の再現」というのは破綻してます。



家畜化された時期は猫より犬が早かったと思われますが、家畜化されてから数万年、人間と食事を分け合ってきたのは間違いないのです。

猫などは穀物を作るようになってから、距離が近くなった動物ですから、人間が調理した穀物をかなり長い年月食べてきたのは間違いありません。

数千年(あるいは数万年)食べてきたものを、家畜化される以前の食餌に戻す方が不自然な行為です。
もっと言えば、家畜化される以前の食餌内容が明確に判明しているわけではありません。

野生のオオカミでさえ、夏場の食餌の8割が植物性のものだったという調査もあるくらいで、肉だけの食餌が理想的と考えるのは”ステレオタイプ”と言えます。


猫は特に『完全肉食動物』と言われますが、この意味は
『肉を食べなくては生きていけない動物』
であり
『肉だけを食べる動物』
という意味ではありません。

違う表現をするなら
『ベジタリアンにはなれない動物』
であり、間違った解釈が独り歩きしているように感じます。


決してグレインフリーフードが悪いわけではありません。
アレルギーなどで小麦やトウモロコシを避けたいのなら適しています。

米は穀物の中でも特別

米は犬猫にとって、最も消化が良い穀物です。
ただドッグフードの先進国であるドイツやアメリカでは、主食ではないため歴史的にあまり作られていません。

気候や土壌の差で作付けが難しいのもありますが、その分健康食としての研究は逆に進んでいるのです。


そのため手術の回復期や高齢の個体への特別食として、米を使ったメニューは良く用いられています。

白米に腸壁細胞を保護する成分が見つかったこともあり、お腹の問題の回復期には特に頻繁に使われます。
そのため米は犬猫にとって”不必要”どころか、”絶対必要”な食材の一つであり、アレルギーでない限り外す理由が見つかりません。


根拠のない情報に惑わされて米を敵視するのは、非常にもったいないことです。

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