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かゆい!【ペットがかゆがる原因はアレルギーだけ?】

困り顔の犬

目次

年々増える”かゆみ”の訴え

動物病院の受診理由の半分が、かゆみや皮膚の異常というデータもあるくらい多くなっています。

もっとも、動物は痛みや不調を隠していることが多いので、我々がすぐに気づけるのは目に見えることが中心となるからかもしれません。


ひっきりなしに掻いたり、皮膚を傷つけるほど掻き続けるようなひどい症状でも、現代ではステロイドがあるので、一時的に炎症やかゆみを抑えることができます。

よくステロイドをひどく恐れて
「絶対使いたくない」
「ステロイドを使うようになったらおしまい」
と考える方もいらっしゃいますが、かゆみは痛み同様、精神的にも辛い症状です。


そのため上記のようなひどい症状の時は、一時的にステロイドで症状を緩和する方が、予後が良いケースがほとんどです。

「怖いから」
「クセになるから」
と言った根拠のない巷の噂に惑わされて、医師の指示を守らず、勝手に減薬したり、断薬することの方が、ペットたちを苦しめる結果になります。

万が一獣医師の処方に疑問があるなら、治療計画を聞いたり、セカンドオピニオンを求めるなりして下さいね。
中途半端な使い方をする方が、よっぽど
「怖くて」
「クセになる」
場合もあるのです。

薬か、食餌か

ハーブ

「食餌療法とハーブだけで治したい」
というご相談をお受けすることもあるのですが、獣医師による治療を受けている間は、たとえハーブやサプリメントであってもお勧めできません。


血が出るほど舐め続けているような状態では、おそらくまともな睡眠もとれておらず、自力での治癒には非常に長い時間がかかるのは間違いありません。
そしてその長い時間を、気の狂いそうなかゆみで過ごさせるのは、ステロイドによる負担よりよっぽど大きなものになるでしょう。
つまりこのレベルにおいては、進化した獣医学を享受すべきです。


ただし
『なぜこのような皮膚の状態になったのか?』
という面においては、食餌でやるべきことはたくさんあります。

かゆかゆの原因は、食物不耐性か、食物アレルギーか?

色鮮やかなドッグフード

特定の食材だけでなく、市販のフードに添加される保存料を始めとした化学添加物が、何らかの皮膚症状や胃腸症状を引き起こす可能性もあります。

しかし
「Aという添加物を〇ミリグラム摂取すると、皮膚疾患が起こる」
といった明確なデータはありません。


これは人においても言えることで、一つ一つの添加物において、一日の摂取上限量や性質はある程度分かっていても、複数の添加物が合わさった時の明確なデータはありません。

・・・というより、「明確なデータは出しようがない」と言った方が良いかもしれません。


ただ例えば、アレルゲン除去食として、白米とラム肉による手作り食を続けている間は皮膚症状が出ないのに、「ラム&ライス」のドライフードにするとぶり返す・・というケースは多々見受けられます。

このようなケースでは、ドライフードに使用される保存料や粒を形成する添加物等に原因があるかもしれないと、推測することはできます。


一般的に『食物アレルギー』と言えるのは、皮膚症状を示す個体の10%程度と言われ、そのほかの添加物等が原因となる過敏症状は『食物不耐性』の一つと言えます。


『食物不耐性』は肉やチーズ、甲殻類、キノコ類、ナッツ類、果物などに含まれるヒスタミンやセロトニンなどが引き起こす症状で、食物アレルギーと非常に似ています。

食物アレルギーの場合、IgE抗体上のマスト細胞が、食物のアレルゲンによって刺激されると、ヒスタミンやロイコトリエンが放出され、いわゆる「アレルギー症状」と呼ばれる皮膚症状や胃腸症状が出ます。

一方食物不耐性の場合は、すでに食材に含まれているヒスタミン等で症状が出るのです。

この二つを症状や血液検査などで判別するのは、非常に難しいのです。


ただ食物不耐性は、食物アレルギーに比べると症状は軽く、比較的短時間で改善するケースがほとんどであるため、そのへんの経過を目安にするしかありません。

かゆかゆを引き起こす、アレルギー、食物不耐性以外の原因

犬と黒猫

そして第三の原因として、体内の状態が皮膚に表れているケースです。

皮膚も排泄器官の一つですが、例えば
・肝臓や腎臓の不調で、老廃物の排出が追い付いていない。
・胃腸や肺の不調で、水分代謝がスムーズにいってない。
というような時も、湿疹や皮膚の赤み・かゆみ等でサインが出る場合があります。



今日お伝えしたどの原因であっても、たとえば亜鉛やビタミンB、ビタミンEなどによる補給で改善することがあるので、ビタミンやミネラルの不足が原因とする説もあります。


しかし飼育下にあるペット達に、深刻な栄養欠乏が起こるとは考えにくく、おやつしか食べないような極端な偏食ならともかく栄養学的には疑問です。
ただこれらの成分が崩れた体内バランスを元に戻すためのアシストをしてくれる可能性は高いと考えています。

まとめ

空の光

どちらにしろ『皮膚症状』『栄養素』など一部だけをクローズアップするのではなく、総体的に見ないと根本解決には至りません。

そして急に出た症状であっても、そこに至るまでには体内で長い時間をかけて積み重なった結果です。
その解決には、最低でも同じだけの時間がかかるのが普通です。

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